Apple Musicで行こう。Take the “A” Music。

Takashi Fujisakiのアバター
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Apple Music、ずっと躊躇してたんですが、最近になってようやく申し込んでみました。さまざまな音楽ストリーミングサービスがある中で、Apple Musicはどんな方におすすめできるのか。しばらく使ってみてのレビューとして、Appleユーザー視点からご紹介します。

Apple Musicはこんな方におすすめ

最初に結論をば。こんな方にはぜひApple Musicをおすすめしたいです。

  • iTunesにたくさん音楽を取り込んでいる方
  • iTunes Storeで音楽を購入している方
  • Mac, iPad, iPhone, Apple TV, Apple Watchなど、複数のAppleデバイスをお使いの方

Apple純正サービスということで、Appleデバイスおよび関連サービスを利用されている方には、より多くのメリットがあります。有り体に言うなら、Appleファンための音楽サービスです。

さて、以下にApple Musicを選ぶメリットについてご紹介していきたいと思います。

Apple Musicの特長1 データサイズと音質のバランス

一般的な音楽ストリーミングサービスのデータ形式はmp3、ビットレートは最大320kbpsとなっています。対してApple MusicはAAC、最大256kbpsとなります。

なんのこっちゃ…という方のために、音楽データ形式とビットレートについて簡単にご説明します。

音楽データ形式 mp3とAACの違いは?

mp3, AACは、いずれも、音楽(音声)のうち人間の耳に聴こえにくい部分の情報を間引いてデータサイズを小さくするための仕組み(またそれによって変換されたファイル)です。音質の劣化を最小限に抑えつつ、劇的にデータサイズを小さくすることができます。

mp3
2017年現在最も普及している音楽データ形式で、音楽データの代名詞的存在です。高い圧縮率と音質が特長で、古くからPC周りの音楽データの普及に多大な貢献をもたらしてきた、非常に長寿な技術となります。

AAC
mp3より後発の形式で、現在のバージョンでは音質、その他含めmp3の上位互換とも言えるものであり、今後のスタンダードになると言われています。iTunesなどでAppleがいち早く採用したことにより、一躍市民権を得ました。今ではNintendoやPlayStationといったゲーム機や地デジ、Blu-rayなどにも使われています。

ビットレートとはなんぞ?

bps(ビット/秒)という単位で表される、1秒間の音楽(音声)にどれだけのデータ量を持っているかを示す単位です。単純に数値が高い方がデータ量が多く、同じ形式なら、ビットレートが高いほうが音質が良いと言えます。

つまり、CDクオリティなどの圧縮されていない音楽をどれだけ圧縮してデータサイズを小さくする(した)か、の指標です。

端的に言うと、

ビットレートの数値が低い = たくさん圧縮した = ファイルサイズが小さい = 音質が悪い

となります。

Apple MusicがAAC, 256kbpsを採用している理由(推測)

iTunesやiPodが登場した頃は、デバイスのストレージ容量や通信速度が貧弱だったため、音質よりも圧縮率が優先されており、128 – 192kbpsくらいのビットレートが主流でした。いい音聴きたきゃCDで聴け!という時代。しかし、今では当時とは比較にならないほど大容量化、高速化されており、そこまでの圧縮は必要とならず、高音質を保てる256 – 320kbpsあたりが主流となっています。

mp3の128kbpsと320kbpsを比較した場合、音質の違いは目に見えて(耳に聴こえて?)実感できます。しかし、僕の経験上、256kbpsを超えてくると、もはや聴き分けることはできません。トップのレコーディングエンジニアでもない限り違いを実感することは難しいと思います。スマートフォンやモバイルスピーカー、スマートスピーカーのような環境で聴くならなおさらです。

また一般に、同じビットレートならAAC(改良された現在のAAC-HE V2)はmp3より高音質です。つまり、320kbpsのmp3と256kbpsのAACで音質の違い(によるユーザー体験)に差異はないと言えますし、僕は実際に聴き分けることはできません。

まとめると、音質は同等でファイルサイズ(=ストリーミング通信量)は256kbps AACの方が小さい、ということが言えます。

以上につき、ビットレートだけを見てApple Musicは音質が悪いというのは誤りで、逆に音質は音楽ストリーミングサービスの選択の決定打にはあまりならないと思います。

AppleはMacやiPhoneといったハードウェアにおいても、決してスペック至上主義ではなく、実用とスペックのバランスをうまくとった設計を行っていますが、このApple Musicについても同じ方針であることが窺え、そのままApple Musicの特長のひとつとも言えると思います。

Apple Musicの特長2 全てをミュージックアプリに一元化。

iTunesで取り込んだ音楽、iTunes Storeで購入した音楽、そしてApple Musicで配信されている4,000万曲以上の音楽。その全てをiTunesおよびミュージックアプリに一元化、そしてクラウド管理できます。これまでiTunesにたくさん音楽を取り込んできた方、iTunes Storeで音楽を購入してきた方は、ミュージックアプリでその資産をそのまま共存させることができます。

iTunes Storeで販売している音楽全てをストリーミングできるわけではない

Apple Musicの配信楽曲について軽く説明します。勘違いされやすい部分ですが、iTunes Storeで販売されている全ての音楽をApple Musicで聴けるわけではありません。「え、このアーティスト1曲も聴けないの?」ってのもたまにあります。この辺は単におとな(↑↓↓)の事情によるものと思います。

というわけで、これまでiTunesに取り込んできた音楽やiTunes Storeで買った音楽も、引き続き必要になってきます。

iCloudミュージックライブラリがヤバい

Apple Musicを利用している間は「iCloudミュージックライブラリ」なるものが利用できるようになります。でもって、こやつがApple Musicのある意味根幹とも言える、八面六臂の活躍を見せます。というわけで、iCloudミュージックライブラリについて簡単に説明します。

全てのデバイスでライブラリを同期

iCloudミュージックライブラリを有効にすると、MacのiTunesおよびiOSミュージックアプリのライブラリをiCloudを介して同期することができます。通常はiTunesを介して手動で同期する必要がありますが、iCloudミュージックライブラリなら、例えばMacのiTunesライブラリを整理するだけで全てのデバイスのライブラリに自動的に反映されます。iCloudフォトライブラリの音楽版というわけです。

これまで、10,000曲ほどあるiTunesライブラリをiPhone, iPadにそれぞれ手動で同期していた苦労は何だったのか…oTL=3。と僕は思わされました。

全ての音楽をiTunes/ミュージックアプリに一元化できる

iTunesで取り込んだ音楽、iTunes Storeで買った音楽、そしてApple Musicで配信されている音楽。これらをすべてiTunesおよびミュージックアプリに一元化し管理することができます。

「iTunesで取り込んだ音楽やiTunes Storeで買った音楽はミュージックアプリ」「ストリーミングはそのサービスの専用アプリ」と言ったようにリソースが分散しなくて済むのも、Apple純正サービスの大きなアドバンテージと言えるでしょう。

手持ちの音楽もクラウド管理

上記のとおり、Apple Musicで配信していない音楽やiTunes Storeで販売していない音楽、例えば自分のバンドのリハ音源なども、iCloudミュージックライブラリによって管理し、全てのデバイスでストリーミング/ダウンロード再生することができます。

また、iCloudミュージックライブラリにアップロードできる容量は100,000曲です。(Apple Music内の楽曲が換算されるかは未検証ですが、)実用上は無制限の音楽クラウドストレージと言えます。

ちなみに、Google Play Musicでもこれと同等のサービスを提供しており、Google Play Musicなら無料プランでこの機能(50,000曲まで)が利用できます。たしか。Apple Musicにはそもそも無料プランがありません。(その代わり、3ヶ月という業界最長のトライアル期間が設けられています。)

Apple Musicの特長3 デバイスのストレージ容量を節約

従来の方法で手持ちの音楽をiTunesからiPhoneへ同期した場合、その楽曲分のiPhoneストレージが必要となりますが、iCloudミュージックライブラリを介した場合、ストリーミング再生となるので、iPhoneストレージを消費しません。

ストリーミング再生なら64GBのiPhoneでも全曲持ち運べる

もちろん、必要に応じてダウンロードしてオフライン再生することもできます。この場合はiPhoneストレージを消費しますが、ここでもうひとつ。iCloudミュージックライブラリには「ストレージの最適化」機能なるものが存在します。

これはなにかと言うと、ミュージックアプリでダウンロードされた楽曲のうち、最近あまり聴いていない楽曲は自動的にデバイスから削除され、iPhoneストレージを解放してくれる、というもの。(もちろんいつでも再ダウンロードできます。)また、どのくらいの容量分を削除するか、といった設定も可能です。

まとめと注意点

ミュージックアプリだけで完結し、手持ちの楽曲を含めた全ての楽曲はいつでもどのデバイスでも聴けて、かつデバイスのストレージは自動的に最適化される、というのがApple Musicの大きなメリットと言えます。

反面、iTunesで取り込んだ音楽、iTunes Storeで購入した音楽、Apple Musicの配信曲をまとめて一元管理するとなると、管理面ではなかなかややこしく感じる部分もあります。iTunesで取り込んだものか、iTunes Storeで買ったのか、などはひととおり把握しておくのが吉です。とりわけ自分で取り込んだ音楽に関しては、必ず!絶対!間違いなく!「iTunesフォルダの外に」バックアップを取っておきましょう。

おわりに

さて、Apple製品ヘビーユーザーの視点から、Apple Musicのメリットについてご紹介しました。いかがだったでしょうか。

2017年現在、配信曲数、音質、価格などの基本スペックにおいてはどの主要音楽ストリーミングサービスもほぼ横一線となっています。AmazonもAmazon Music Unlimitedをリリースし、他サービスと同等以上の曲数を提供し始めました。

ですので、実際のところ、メジャーどころであればどれを選んでも大きな違いはありません。しかし、Mac, iPad, iPhoneと複数のAppleデバイスを利用している方や、iTunesにお宝を溜め込んできた方なら、Appleの純正便利機能を享受できるApple Musicを選ぶメリットは大きいと思います。

逆に言えば、iTunesを使っていない方、iTunes Storeで音楽を買ったことのない方、複数のAppleデバイスを持っていない方にとっては、他サービスと比較してとりわけ大きなメリットはないとも思います。それぞれの特長をよく見て、自分にとって最適なものを選択しましょう。

Apple Musicの試用期間は業界最長の3ヶ月となっていて、充分に使い勝手をお試しできます。また、ファミリープランや学生プランならさらに割安となります。そしていつでもやめることもできますので、気になっている方はぜひ気軽にお試しください。それではよきストリーミングライフを!