このページをご覧の、スマートフォンの向こうのそこのあなた!NetflixやApple Music, Spotifyなどを使っていますね?どうもメンタリズムです。というわけで、最近ストリーミング配信サービス界隈なんかでよく耳にするようになった「ドルビーアトモス®︎」という言葉。ぜんぜんピンと来ないんですけど!という方のために、解説をさせていただきます。読み終わった頃にはあなたが「なるほどわから……わかってる!」ってなるようにがんばりたいと思います。
ドルビーアトモスとは、かんたんに言うとなんなの?
ドルビーアトモスとは、超かいつまんで言うと、あたかも音が頭上や後ろから聞こえてくるような「めっちゃリアルな臨場感で音(音楽)が聴ける!」しくみのこと。
音に臨場感を出すためのしくみはこれまでにもさまざま生まれてきましたが、それの最新最強版 って感じです。これまでのサウンドシステムとは音を扱う仕組みも異なります。
視聴者側はより没入感のあるリアルなサウンド体験ができ、製作者側はより幅広い表現が可能になり、また意図したサウンド体験をそのままにユーザーに届けることができます。
ドルビーアトモスはよりリアルな、没入感のあるサウンド体験ができるらしい…
ドルビーアトモスは、従来のサウンドシステムとは音の仕組みが違うらしい…
従来の音響システムを軽くおさらいするよ
ドルビーアトモスをより理解するため、これまでのサウンドシステムがどんなものだったのか簡単にまとめます。
モノラル (1ch)
1つのマイクで録音された音、または1つのスピーカーで再生される音のことをモノラルと言います。後述の「ステレオ」の対義として使われる用語です。
蓄音機やお父さんが草むしり中に使っている携帯用ラジオみたいなものをイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。最近だと、小型の防水Bluetoothスピーカーなどがモノラルだったりします。
文字どおり1点から音が出てくるため、音に広がりはありません。あくまでスピーカーのある場所から音が聞こえてくるだけです。
ステレオ (2ch)
一般的に、現在の音楽は左右の2つのスピーカーからそれぞれ異なる音が出ているというのをご存知ですか?これは音に空間的な広がりを出すためなんです。モノラルが1点から音が出てくるのに対し、ステレオは前方から横の広がりを感じることができます。
僕たちが普段聴いている音楽や映画のサウンドは、一般的にはこのL,R(左右)の2ch形式 = 「ステレオ」と呼ばれる仕組みのサウンドです。
サラウンド (5.1ch / 7.1ch など)
ステレオよりさらに広がりを拡大して、後ろの方まで回り込むようなサウンドを実現するのが、5.1ch、7.1chなどと呼ばれるサラウンドシステムです。Blu-rayの映画やライブ映像などで使われています。
ステレオがL, Rの2chに対し、5.1chは
- L
- R
- センター
- リアサラウンド L
- リアサラウンド R
の5つに加え、低音担当のスピーカー「サブウーファー」によって構成されます。「.1(テンイチ)」はサブウーファーの数を表します。5ch + サブウーファー1つで5.1chというわけですね。7.1の場合はさらにサラウンドスピーカーが2つ追加されます。
これまでのステレオが前方からの線の広がりだったのに対し、サラウンドでは真横や後ろまでをカバーした円状の広がりとなります。
サラウンドを再生するには専用のシステムが必要ですので、敷居は高めです。
モノラル … 1点から音が出る 広がりはない
ステレオ … 2つのチャンネル&スピーカーで前方から横の広がりを感じる
サラウンド … 5つ以上のチャンネル&スピーカーで前後左右から円状の広がりを感じる
とここまでが従来のサラウンドシステムの簡単なおさらいです。それでは本題のドルビーアトモスとは一体ナニモノなのでしょう。
なんで「ドルビーアトモス」なんて名前なのだ?
少し脇道に逸れます。これまでは「ステレオ」とか「サラウンド」と比較的イメージしやすい名前だったのに突然「ドルビーアトモス」って名前は何よ…?って思いませんか?思いませんね、はい。でも僕は思いました。というわけでなぜドルビーアトモスという名前なのかは、以下のとおりです。
ドルビーアトモス(Dolby Atmos)とは、ドルビーラボラトリーズ(Dolby Laboratories, Inc.)が開発したオブジェクトオーディオに基づくサラウンド記録再生方式である。
ドルビーアトモス – Wikipedia
開発者ドルビーラボラトリーズは、映画やテレビなどの音響技術の研究・開発を行うアメリカの企業です。音声ではなく映像の技術で「ドルビービジョン」というものもあり、もちろんこれもドルビーラボラトリーズ社が開発したものです。こちらもApple製品などに採用されて話題になりました。
そのほかにも、これまでの音響技術の発展に大きく寄与されてきており、おそらくこれを読んでいるほとんどの方は、知らずのうちにこのドルビーラボラトリーズの研究の成果にあやかっています。たとえば同社音楽圧縮フォーマット AAC はiPodやiPhoneなどApple製品やNintendo Switchに採用されています。
ちなみに、アトモスとは「大気」「大気圏」という意味です。実際のドルビーアトモスのサウンド効果を象徴しているようなネーミングです。
ドルビーラボラトリーズが開発した音響技術
ヘリが上空に!?ドルビーアトモスと従来のサウンドシステムの最大の違いとは
さて、本題に戻ります。ドルビーアトモスと従来のシステムでは、実際のユーザー体験はどう違うのか?
もったいぶらずに結論から言うのがこのブログのモットーです。というわけで、ドルビーアトモスでは前後左右だけでなく上方向にも広がりをもたせることができます。つまりは「空から音が降ってくる」みたいな体験ができるわけです。ヘリコプターの音が上空から聞こえてくる!みたいな。エモすぎますね。
従来のサウンドシステムが水平な円状の広がりだとしたら、ドルビーアトモスは半球状の広がりと言えます。より立体的で、現実に近いリアルな音響体験ができるのです。
ドルビーアトモスとはもはや耳のARである
以前、こちら↓の記事で、僕はこう豪語しました。
(Bose) QC30のノイズキャンセリングは、もはや耳のVRである。
lovemac.jp
今目の前の現実と聴こえるサウンドが、ノイズキャンセリングにより完全に分断され、別の世界線のように感じたためです。
ノイキャンが耳のVRなら、ドルビーアトモスは耳のARである!
それが僕の新しい主張です。ドルビーアトモスは、あたかも映像世界に没入しているような、現実の体感に近いサウンド体験ができるのです。
たとえば、今僕がこの記事を書いている喫茶店ではBGMが流れています。このBGMは、僕の左後方30度距離1mくらい、高さ3mくらいの天井に吊るされたスピーカーから聴こえてきます。
この「天井の方から聴こえてくる感じ」を従来のシステムで再現しようとしても不可能です。が、上方向の広がりも表現できるドルビーアトモスならリアルに再現できる。あたかも、ほんとうにその喫茶店という空間に自分がにいるかのような体験ができるのです。
ドルビーアトモスは、空からも音が降ってくる
従来のサウンドシステムは円状、ドルビーアトモスは半球状に音が広がる
映像世界に没入するかのようなドルビーアトモスは、耳のARのようだ
ドルビーアトモスは音が位置情報を持っている!? – チャンネルという支配からの卒業 –
従来のサウンドシステムは、たとえばステレオならLRの2chにあらかじめ音を割り振ってあって、それに忠実に再生されます。スピーカーの位置や頭の向きに関わらず、LchからはLchの音が、RchからはRchの音が出ます。これは5.1chや7.1chのサラウンドでも同じです。
あらかじめ、チャンネルの数に応じて音をミックスして作ってありそれぞれ指定されたチャンネルから指定された音が出ます。
しかしドルビーアトモスでは、音をチャンネルに割り当てるというものではなく、まったく別の概念で音を再生します。めちゃくちゃ噛み砕いていうと、ひとつひとつの音に位置情報が搭載されていて、再生するシステムに応じて最適な状態で再生される。そんなイメージです。もともと割り振ってあるのではなく、システムに応じでその場で変換されて出力される感じです。
ドルビーアトモスはそれぞれの音が独立した位置情報を持っている
ドルビーアトモスは再生するシステムに最適な状態に変換して再生される
ドルビーアトモスを再生できる機器やシステムは?
ここまでお話してきたとおり、ドルビーアトモスでは上からも音が来るのが、従来のシステムとの大きな違いとなります。簡単にいうと、従来のサラウンドに加えて、上方向用の天井スピーカーが必要になります。そして、ドルビーアトモスのシステムは5.1.2chみたいに表記します。5.1.2の場合、従来の5.1chシステムに加え、天井スピーカーが2つ、という意味になります。
天井スピーカーを含むガチホームシアターシステムを組むのはハードル高杉…
5.1.2chの場合、それだけで8個の独立したスピーカー、そして、それを取りまとめるAVアンプなどが必要です。ちょっと話しただけでも敷居がめっちゃ高そうですね。独身で防音マンションに住んでいるとか、ご家族にも理解してもらえてるとか、そういった意味での敷居も高いと思われます。
しかし!ここで諦めてはいけません。ドルビーアトモスは、なんとこのようなガチのホームシアターシステムがなくても体験できます。従来の機器でもよしなに再生できるような仕組みなんです。
ドルビーアトモスはガチのホームシアターシステムがなくても体験できる!
iPhone / iPad / Macでドルビーアトモスを再生できる?
まずは、このブログの趣旨的にはiPhone / iPad / Macでドルビーアトモスが聴けるか?という問いに答えなければなりません。答えはもちろんYes!iPhone / iPad / Macはドルビーアトモス対応端末なのです。
iPhone XS以降 ( iPhone SEは×) , iPad Pro 12.9インチ第3世代以降, iPad Pro 11インチ, iPad Air第4世代以降
最新のiOS / iPad OS
macOS Big Sur または macOS Monterey 搭載のMac
ヘッドフォンで聴く場合はヘッドフォン(なんでももいい)
ぶっちゃけ、本体1つでもOKです。はい、一気に敷居下がったー!手軽に聴ける〜!
…取り乱しました。ただし、言わずもがなですが、iPhone単体でガチシステムと同じドルビーアトモス体験ができるわけではありません。ドルビーアトモス音源をiPhoneで聴くために、iPhoneさんによって最適な状態にカスタマイズされた状態で耳に届く、そんなイメージです。これはヘッドフォンを使ったときも同じです。
ドルビービジョン音源はApple Musicなどで聴けますよ。
Apple製品でドルビーアトモスで再生する具体的な手順はまた追って記事にしたいと思います。
やっぱりAirPodsシリーズがおすすめ
Apple製品でドルビーアトモスを体験するならやっぱりAirPodsシリーズがおすすめです。あんまり詳しくなくても、面倒な設定なしに使えるので。Apple製品は、組み合わせたときに最大の、いや限界突破の威力を発揮するのです。
サウンドバーでドルビーアトモスを再生できる?
ドルビーアトモス対応のサウンドバーなら、単体でもドルビーアトモスを体感できます。
おすすめをいくつか紹介します。
ガチおすすめはなんといってもSONOS Beam Gen2!2022年現在、非常にコスパの高いドルビーアトモスサウンドバーと言っても過言ではありません。
Sonos ソノス Beam ビーム Soundbar サウンドバー Dolby Atmos対応 Amazon Alexa搭載 BEAM2JP1BLK ブラック
残念ながら2022年3月くらいから品薄が続いています。買える時にソッコーでゲットしましょう!
さて、このSONOS Beam Gens2。純粋に音が素晴らしい。低音から高音までレンジが広く、またこのサイズでなんでそんな重厚な低音が出るの?ってのが意味がわかりません。それもそのはず、SONOSのスピーカーは、ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティンの息子さんら一流のサウンドマンたちがチューニングしているそうですから納得です。
その他、AirPlay 2対応だったり、アプリが優秀だったり、ほかのSONOS製品と組み合わせてワイヤレスホームシアターを構築できたりと、無類の才能をお持ちのサウンドバーです。
もうひとつはBeam の上位版、SONOS Arc。ある程度大きな音を出せる環境の方は絶対にこちらがおすすめです。
Sonos ソノス Arc アーク Soundbar サウンドバー Dolby Atmos対応 Apple AirPlay 2対応 ARCG1JP1BLK
最後。BoseのSmart Soundbar 900。こちらも某家電量販店で試聴してきましたが、もう、ザ・Bose!マジでボーズ。突き抜けるような高音に深い重低音。ボーズファンなら迷わずこちらがおすすめです。
Bose Smart Soundbar 900 スマートサウンドバー Bluetooth, Wi-Fi接続 リモコン付 104.5 cm (W) x 5.81 cm …
ドルビーアトモスが体験できる配信サービスは?
もちろん、iPhoneだけではなく、作品自体がドルビーアトモスで配信されていなければ体験することはできません。まずは、2022年5月現在にドルビーアトモスを体験できる動画配信サービスです。
- Apple TV+
- Netflix
- Amazonプライム・ビデオ
- ひかりTV
- U-NEXT
- Disney+
お次は2022年5月現在にドルビーアトモスを体験できる音楽配信サービスです。
- Apple Music
- Amazon Music HD
- TIDAL
まとめ
さて、ドルビーアトモス、概要は理解できたのではないでしょうか。友だちや彼女に「この(ドルビーアトモス)マーク何?」って聞かれたらぜひ下のセリフとともにこのページを紹介してあげましょうね。
ワンチャンめっちゃ臨場感あるサウンドで聴けるんだよ
それではまた。