軟骨伝導 ATH-CC500BT vs Shokz OpenRun Pro 徹底比較レビュー

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コンシューマー向けでは初の軟骨伝導イヤフォンとして話題のオーディオテクニカATH-C500BT。骨伝導の伝道師(自称)として、僕も秒でポチりましたとも。というわけで、これまでの骨伝導イヤフォンとはどう違うのか!?骨伝導ファンの皆さんとしても気になるところだと思います。というわけで、今回は話題の軟骨伝導ATH-C500BTと骨伝導イヤフォンの定番Shokzの最上位機種OpenRun Proとで、なにがどう違うのか。徹底的に比較したいと思います。

登場するイヤフォン2機種を紹介

まずは渦中のaudio-technica ATH-C500BT。初の「軟骨」伝導イヤフォン、しかもオーディオ機器メーカーとして名高いオーディオテクニカということで非常に注目が集まっています。

対するは、骨伝導イヤフォンの人気シリーズ Shokz(旧AfterShokz)の最高峰モデルである。OpenRun Pro。

この2つの伝導系イヤフォンを徹底比較していきます!

軟骨伝導とは?

ATH-CC500BTの開発元であるaudio-technica社によると、こういうことだそうです。

出典: audio-technica

骨伝導が頭蓋骨を通じて音を伝えるのに対し、軟骨伝導は軟骨を通じて鼓膜を経て音を伝えるしくみということですね。はい。これにより骨伝導に比べて下記のようなメリットがあります。

⽿の軟⾻部に触れる程度の装着で、効率良く⾳を伝えられるため、頭部への圧迫も少なくなります。

ATH-CC500BT|ヘッドホン|オーディオテクニカ

左右の内⽿に到達する⾳はそれぞれ別々になるため、気導経路の⾳と同様にステレオ感が得られます。

ATH-CC500BT|ヘッドホン|オーディオテクニカ
軟骨伝導とは

check骨伝導より効率よく音を伝えられる新しい技術

check効率的なぶん、頭部への圧迫も少なくて済むらしい

check骨伝導と違い気道経路の音同様のステレオ感が得られるようだ

外観を徹底比較

まずは外観から。左がATH-CC500BT、右がOpenRun Pro。

左: ATH-CC500BT / 右: OpenRun Pro
左: ATH-CC500BT / 右: OpenRun Pro

パッと見、ATH-CC500BTの方が大きく感じますね。特に本体部分というか機構の部分は倍近くの差があるように見えます。

装着するとこんな感じ。ATH-CC500BTのほうは主張強め、OpenRun Proのほうがすっきりとした印象です。

主張強めなATH-CC500BTさん(上段)

装着感を徹底比較

まず、両方を装着して比較してみると、直感的にはOpenRun Proの方が軽い印象で、実測で8gの差がありました。重心の違いなども、実際に感じる重みに影響しているかもしれません。

左: ATH-CC500BT 36g / 右: OpenRun Pro 28g

とはいえ実際の装着感としては、ぶっちゃけあんまり変わんないというのが率直な感想です。

肝心な締め付け具合ですが、ATH-CC500BTは触れ込みどおりの圧迫感の少なさで、さすがといったところ。しかし!正直なところOpenRun Proも丸一日つけていられるほど圧迫は少なく、両者に違いは感じませんでした。

寝ながら着けてるときはどうなの?

寝るときも含めてほぼ24h骨伝導イヤフォンを装着している僕ですが、枕に寝転がるとき、OpenRun Proは横向きも仰向けも、まぁまぁイケるんです。しかし、ATH-CC500BTは仰向けのときには後ろのワイヤー部分が少々邪魔で、角度調整をすると軟骨の装着部分がずれてしまい、音がちゃんと聞こえなくなってしまいました。

後ろのワイヤー部分の角度の違いでATH-CC500BTは仰向けで寝ながらは聴きづらい

というわけで、寝ながらの装着感はOpenRun Proに軍配といった感じです。

ここがポイント

check普段の装着感はぶっちゃけ優劣なし

check枕に寝てるときはOpenRun Proに軍配

仕様や機能を徹底比較

お次は主な仕様を比較してみました。

audio-technica ATH-CC500BTShokz OpenRun Pro
軟骨伝導骨伝導
35g29g
Bluetooth 5.1Bluetooth 5.1
バッテリー駆動 20時間バッテリー駆動 10時間
10分の充電で約120分間の連続再生5分間の充電で最大90分の連続再生
コーデック aptX HD / aptX / AAC などコーデック SBC
IPX4IP55
マルチポイント 2台マルチポイント 2台
イコライザー 3種類イコライザー 2種類
USB-C充電マグネット充電

再生時間はATH-CC500BTの圧勝!

ポイントがいくつか。まずはバッテリー駆動時間。ATH-CC500BTは約20時間とOpenRun Proのなんと倍の駆動時間で圧倒。これも軟骨伝導の効率性のおかげなのでしょうか。それとも単にバッテリーを積んでいるということなのかはわかりませんが。

防水・防塵性能はOpenRun Proがやや優勢

お次は、防水・防塵性能。こちらはOpenRun Proが優勢。とはいえ、どちらも実用面ではそれほど違わないでしょう。ATH-CC500BTもOpenRun Proもお風呂やシャワーは厳しいと思うので。

ちなみにAfterShokzのAeropexはIP67で、僕はこれをお風呂場で使っています。なんならシャワー浴びるときもガンガン水を浴びせ倒していますが、今のところまったく不具合ありません。もちろん推奨される使い方ではありませんので、興味のある方は自己責任でどうぞ。

コネクターは好みが分かれるところ

もうひとつの大きな違いは充電コネクター。ATH-CC500BTはUSB-C充電ですが、OpenRun Proは独自のマグネットケーブルによる充電。これは賛否が分かれるところかと思います。

USB-Cならほかのデバイスと共用のケーブルが使えたり好きな長さのケーブルが使えたりと、汎用性の高さというメリットが大きい。一方のマグネット充電は、片手でかんたんに着脱できて使い勝手が超絶よいのですが、専用ケーブルが必要といったデメリットもあります。ちなみに、個人的にはOpenRun Proのマグネット式がラクすぎてUSB-Cには戻りたくないです。

充電速度に関してはどちらも文句なしの性能。また、複数台のスマートフォンやタブレット、PCを使う方にとってとても重要なのがマルチポイント対応。マルチポイントというのは、複数デバイスに同時接続できるかどうかで、これのあるなしで使い勝手がモロに変わってきます。ここは両者とも2台まで同時接続ができるので、問題なしです。

ここがポイント

checkバッテリー駆動時間はATH-CC500BTの圧勝

check防水・防塵はOpenRun Proが優勢だが大差なし

check充電方式は好みがあると思うがOpenRun Proのマグネットは超便利

サウンドを徹底比較

さて、いよいよ肝心のサウンド面はどうでしょうか。かれこれShokzを使い倒しまくってきた僕の、ATH-CC500BTの印象は。ちなみに、音楽はiPhone 14 Proのミュージックアプリで再生しました。

ATH-CC500BTはレンジが広く低音もしっかり

まず、音がクリアでレンジが広い!音質を強化したモデルのOpenRun Proと比べて、高音域、そしてとくに低音域のレンジが広くしっかりと聴こえる。交互に聴き比べるとOpenRun Proのほうがフラット寄り、ATH-CC500BTのほうがドンシャリ気味。

最大音量について。これはOpenRun Proの方が圧倒的にデカい音が出せます。というかATH-CC500BTは音が小さめだなと感じました。僕が大音量狂なだけかもしれませんが。

はっきりとしたステレオ感

しかし最大の違いは、軟骨伝導の特長として挙げられていたように、ATH-CC500BTはステレオ感がすごい!インナーイヤー型のイヤフォンのように、しっかり左右の音が分離して聴こえてくる。これはひとえに軟骨伝導の効率性によるものと思われます。

対して、OpenRun Proは、少しミックスされた、空気感のあるような聴こえ方です。まぁ、どっちがいいってなると、結局は好みの範疇なんですが。

イコライザーの性能は?

OpenRun Proは声が聞こえやすいボーカルモードとバランスのよいスタンダードモードの2種類のイコライザーが選べます。対してATH-CC500BTはOriginal, Bass Boost, Clear Voiceの3種類。ちなみにATH-CC500BTのBass Boostは超ドンシャリ化しますが、低音による不快な振動を感じることはありませんでした。ただ音質としてはあまり好みじゃなかった。この手のは結局スタンダードなモードが一番だったりします。

対応コーデックはATH-CC500BTの圧勝

OpenRun ProはSBCコーデックのみ対応。しかし、ATH-CC500BTは aptX HD / aptX / AAC と高品質なコーデックにも対応。今回はiPhoneで聴いたので、OpenRun Pro、ATH-CC500BTはAACでの接続のはずです。音質の違いはこのコーデックの違いの影響も出ているとは思います。

だがしかし。こういっては元も子もないかもしれませんが、現状の骨伝導(軟骨伝導)イヤフォンにおいては、aptXでもSBCでも、ぶっちゃけ体験価値としては変わらないと思います。もちろん、今後さらに発展していけば、コーデックの違いが重要になるほどの音質の骨伝導イヤフォンが登場するかもしれません。

軟骨伝導と骨伝導、使ってみてどう違った??

と、ここまでやってきたにもかかわらずクソつまらんことを言います。

好きな方使おうぜ!!

軟骨伝導と骨伝導、技術的には大きな違いがあるようですが、この2機種においてはそこまでの劇的な違いは感じられませんでした。というかまぁ違いはあるんですが、ユーザー体験としてめくるめく違いはなく誤差レベルって感じでした。あくまでこの2機種のお話ですが。ってなわけで結論。

結論

check好きな方を使うべし

僕は軽くて小さいOpenRun Proの方が好きだな!長時間耐久が必要な方はATH-CC500BTがいいかもしれませんね。それではまた。

あなたにはATH-CC500BTがおすすめ

checkとにかく長時間再生したい!

checkサイバー感出したい!

checkステレオ感重要!

checkapt-Xでしょ!

check最先端を感じていたい!

あなたにはOpenRun Proがおすすめ

check見た目シンプルがいい!

check少しでも軽い方がいい!

check寝ながら聴きたい!

check充電がラクなのがいい!

参考文献