B&Wヘッドフォン Px8 vs Px7 S2e 徹底比較!どっちを買おうか迷っている人へ

Takashi Fujisakiのアバター
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イギリスの高級オーディオブランド、Bower & Wilkinsが送るヘッドフォンのフラッグシップモデル、Px8、そしてPx8のエッセンスを取り入れた最新モデルPx7 S2e。どちらを買うべきか迷う…しかも高い買い物だし失敗したくない…!というわけで今回は、決められずに結局買ってしまった挙句両方をじっくり使い込んだ筆者が、この2機種の違いを徹底的にレビューします。ぜひ参考にしてください。

Px8とPx7 Se2 共通していること

さて、違いを見ていく前に、逆に共通していることを見ていきたいと思います。

基本的な形状とボタン配置

まずは形。材質は違えど、基本的な形はまったく同じです。材質の違いがそのまま見た目の高級感にも繋がっている感じですね。

ボタンの配置および操作についてもまったく同じです。コネクターもUSB-C ひとつのみ。アナログ入力端子がないのも共通しています。

ハードケースやケーブルといったアクセサリーも共通しています。

あとはBluetoothコーデックも同じですね。いずれもaptX Adaptive 対応で、ワイヤレスでも高音質で楽しむことができます。

ノイズキャンセリング、アンビエント・パススルーも共通

Image: bowerswilkins.com

ノイズキャンセリング、アンビエント・パススルー(外音取り込み)も、まったく差異を感じません。品質の高いノイズキャンセリング、そしてハウジングが空洞なのかと錯覚を覚えるほど自然な外音取り込み。Px7 S2eもPx8と同じクオリティで恩恵にあやかることができます。

Px7 S2e最大の特長は、Px8と共通のDSP!

Image: bowerswilkins.com

最後に、共通点としてもっとも重要なことがあります。それはフラッグシップモデルのPx8と同じDSPを搭載している、ということ。これはPx7 S2とPx7 S2eの差別化要素でもあり、Ps7 S2eの e(evolved – 進化)たる所以でもあります。

DSP (Digital Signal Processing)とは?


さてさて。ここなにげに重要なので詳しくお話します。

DSPとは「Digital Signal Processing」(デジタル信号処理)の略称で、文字どおりデジタル信号の分析・改善・処理などを行う、音響・映像技術において非常に重要な役割を果たす機構です。

音響分野におけるDSPの応用例をいくつか挙げてみます。

  1. ノイズリダクション: 音声や音楽から不要なノイズを取り除く
  2. エコーキャンセレーション: 通話や録音でのエコーを減少させる
  3. サウンドエフェクト: リバーブ(残響)、ディレイ(遅延)などのエフェクトの生成
  4. イコライゼーション: 音の周波数バランスを調整する
  5. 3Dオーディオレンダリング: バーチャルリアリティやサラウンドサウンドシステムでの立体的な音響体験の生成

つまり、Px8の開発で培った高品質なDSP技術を、Px7 S2に逆輸入して取り入れたのがPx7 S2e。って感じですね。

Px8とPx7 S2eの共通点

check

checkボタンの配置・操作方法

checkaptX Adaptive対応

checkハードケース

checkノイズキャンセリング、アンビエントパススルーの性能

checkPx8で培ったDSP技術をPx7 S2eに取り入れた

Px8とPx7 Se2の違い

さて、次は、両者についてどのような違いがあるのか、についてみていきましょう。

重さ

重さは公式の仕様ではPx7 S2eが307g 、Px8が320g。1円玉13枚分程度の違いがあります。実際に装着した感じではほぼ違いを感じず、僕は重さだけでブラインドでどちらかを当てるのはたぶん無理だと思います。

本体の材質

Px8はアーム構造にダイキャストアルミニウムを採用しており、強度・耐久性と軽さを両立しています。エリプティカルロゴプレートにはダイヤモンドカットのエッジングが施されており、一段と煌びやかな高級感を醸し出しています。

ハウジングにも違いがあります。Px8はレザーで高級な質感。溢れ出る「身に纏う高級オーディオ感」に、オーディオフィリア的欲望が満たされます。

Px7 S2e(左)、Px8(右)

Px7 S2eはファブリック調でカジュアルな印象。外出時もより気軽に使える感じです。実際僕も、カフェなどではPx7 S2eの方を使っています。あと、個人的な好みではこのPx7 S2eのファブリック調がカジュアルかっこよくて好きだったりもします。

カラバリ

Px8はより高級感を演出する3種のカラー、Px7 S2eはよりカジュアルシーンにマッチする4種のカラーが用意されています。

ドライバー(振動板)の材質

ドライバーの材質の違いも、注目すべき大きなポイント。Px8はカーボン、Px7 S2eはバイオセルロースを採用。いずれも高品質なサウンドに大きく貢献していることに違いはありませんが、ここが両者の大きな差別化ポイントでもあります。

Image: bowerswilkins.com

肝心なサウンドを比較!

さて、いよいよ最も肝心なサウンド面について比較してみました。ここでは、iPad miniを使って、Bluetooth (AAC) 接続とUSB-C接続の2パターンで比較してみました。

基本的なサウンド傾向は同じ

前提として、Px7 S2e、Px8ともにサウンドの傾向は同じです。繊細で解像度が高く、詳細なニュアンスまで表現してくれる、歪みの少ない原音に忠実なサウンド、という基本的な方向性は両者とも共通しています。また、音域のレンジが広いのも特長のひとつで、いわゆる高級スピーカーのようなやわらかく伸びのある高音域、そして深みのある、引き締まった重低音は、他とは一線を画すB&Wの本領発揮といったところでしょうか。

さて、それでは両者の具体的な違いを見ていきましょう。

Px8とPx7 S2eのサウンドの違いとは?

さて、本記事で皆さんが最も関心があるのはここではないでしょうか。もちろん、この記事もこのために書いているようなものなので、気合い入れて書こうかと思います。

パッと聴きの印象としては、Px7 S2eの方が少し低音域がすっきりしていて、その分高音域が強調されている印象。Px8の方が少し、腰の据わったドッシリしたサウンドに感じます。

あと、Px8の方がさらにレンジが広く、特に低音の深みに如実な違いが見られます。またPx8の方が、俗にいう「音場が広い」という表現が適切かと。音の厚み、立体感がPx8のほうにより感じられます。また、Px8の方が少しアタック感が強めな印象。

これらは、AAC接続、aptX adaptive接続、USB-C接続ともに共通する傾向です。要するに、音響的な意味では、Px8がさすがだと言わざるを得ない。

優良か、超優良かの差

大前提、Px7 S2eは50,000円台のミドルレンジヘッドフォンに相応しい音質と言えます。そのうえで、Px8はさらにその上を行く、まさに「桁違い」のサウンドと言っていいと思います。低音の深み、解像感、そして音場の広さ。聴き比べるとその違いは瞭然です。

とはいえ!ですよ。ここから重要な話をしますが、その違いが一目瞭然と言えるのは、いくつか条件があります。

音源そのものの品質に左右されがち


音源の品質と高級ヘッドフォンの関係を料理に例えてみましょう。高品質な音源は新鮮な食材、高級ヘッドフォンは一流シェフに相当します。新鮮な食材を使えばシェフが素材本来の味を引き出し、至高の料理を作るように、高級ヘッドフォンは音源そのもののもつ本来の音をしっかりと引き出し、真価を最大限に発揮します。しかし、音源が低品質だと、高級ヘッドフォンでもその限界を超えることはできません。つまり、ミドルレンジクラスのヘッドフォンの以上の差を体感するためには、良い「食材」である音源の質が決定的に重要、というわけです。

どんな腕の立つ匠も、食材に引き出す旨みがなければ引き出せない。音楽にも「うまみ成分」が詰まっていればいるほど、匠の引き出し方にも個性が出やすい、ということです。

AAC(iPhoneでワイヤレス)接続では違いは少ない

iPhoneでワイヤレス(AAC)接続で聴く場合、Px8、Px7 S2e両者の違いはそこまで顕著には出ません。僕はブラインドで聴き分ける自信はあんまりないです。

理由は上記とほぼ同じ。iPhoneのBluetooth転送は、転送効率を高めるため、データをガッツリ圧縮してヘッドフォンに送っています。その圧縮によって、パッと聴きはわからないとしても、実際は音の「うまみ成分」の部分がごっそり持っていかれています。いわばグルタミン酸やイノシン酸が破壊されてしまった状態。匠が引き出す旨みが失われた状態というわけです。

AACよりも高音質なワイヤレス接続である、aptX Adaptive 対応のAndroidスマートフォンなどであれば、AACよりも差は出やすいと感じました。

有線接続で解放される異次元のサウンド

Bluetooth接続でもとてもワイヤレスとは思えないレベルのサウンドを醸し出す両者ですが、やはり真の実力を発揮するのは有線接続。いずれも音圧とレンジと解像度が圧倒的に増す様は、さながらフリーザ最終形態。そして両者の音の違いも有線接続で最大となります。

とりわけ有線接続Px8は、ミドルレンジのヘッドフォンとは一線を画す、異次元のサウンド。ロスレス

サウンド比較 結論

B&W Px8
高音の質
4.5
中音の質
4.5
低音の質
5.0
繊細さ
5.0
アタック感
4.5
音場の広さ
4.5
好み!
5.0
総合
4.7
B&W Px7 S2e
高音の質
4.5
中音の質
4.0
低音の質
4.5
繊細さ
5.0
アタック感
4.0
音場の広さ
4.5
好み!
4.5
総合
4.4

いわゆるオーディオ的な音質という意味ではPx8の方が一枚、いや一枚半上手だと僕は感じます。とくに差を感じるのが、レンジの広さと低音の深み。

また、ロスレス(無圧縮)音源 × 有線接続で、ある程度音量上げて聴き比べる状況ならば、Px8が圧倒的パフォーマンスを発揮し、その差も歴然といったところです。反面、iPhoneでワイヤレス接続で聴き流しをするようなシーンでは、元々の方向性が同じこともあり、正直そこまでの違いは感じません。

また、元も子もない話をするならば、シンプルにPx7 S2eの方が好みだと思う人もいると思います。個人的には、Px8は僕には低音が少々強すぎると感じます。もちろん、アプリのイコライザーで調節できるので問題はないのですが。Px7 S2eは、デフォルトの状態でベストな感じです。

音楽はあくまで嗜好品。いいと感じるかその人次第。4KよりフルHD画質の方が好きなのも、大トロより赤身の方が好きなのも、自由なのだから。

Px8 / Px7 S2e サウンド比較

check繊細でレンジが広いという基本的な傾向は同じ

checkPx8はよりレンジが広く、低音に深みがある

checkロスレス x 有線で違いははっきりする

checkiPhone x ワイヤレスではあまり違いはない

checkaptXでも違いは出るが、有線ほどではない

checkオーディオ的な意味では、Px8が完全上位互換と言えると思う

checkとはいえ、好みは人によるよね

で、Px8 / Px7 S2e どっち買えばいいの??

というわけで最後に、迷った挙句両方買って両方使い倒した頭がちょっとアレな僕が、どちらを買うべきかというお悩みにお答えしたいと思います!

こんな人にはPx7 S2eがおすすめ

Px7 S2eをおすすめしたい人

checkコスパの高いヘッドフォンがほしい

checkiPhone x ワイヤレスで聴きたい

checkカフェや屋外でも使いたい

check高音質と気軽さ、どっちも外せない

checkファブリック調のマットなルックスが好きだ

check少しでも軽い方がいい

こんな人にはPx8がおすすめ

Px8をおすすめしたい人

checkとにかく最高の音楽体験をしたい!

check有線接続でじっくり聴きたい

checkiPhone 15以上 (Type-C) またはaptX Adaptive対応スマホを使っている

check主に室内で使う予定

checkミドルレンジを卒業し新たな沼へ足を踏み入れたい

check高級感のあるルックスのヘッドフォンがほしい

倍近い価格差相応の価値はあるのか?

Px7 S2eでご満悦な筆者

このページをご覧になっているような、日頃から音質にこだわりアンテナを張り巡らせている方々には、例えば3,000円のヘッドフォンと30,000円のヘッドフォン違いは歴然で、かつ30,000円の方がいい音だと感じる方がほとんどであることでしょう。

では、Px7 S2とPx8。その価格差に見合った価値、音楽体験を享受できるのか?ここがどちらを選ぶかの最大のポイントですよね。

まず、aptX Adaptive接続なら両者の違いを認識しやすく、特に有線接続であればより顕著で、Px8は唯一無二の能力を存分に発揮します。が!そこに50,000円という価格差に見合う価値を実感できるかは、正直個人の感受性の問題や好みによるとしか言いようがありません。

もうひとつわかりにくい例をあえてぶっ込むなら、50万円のロードバイクと100万円のロードバイクに差額の50万円分の違いを実感できるかは、本人の筋力や経験値、そして嗜好性次第だと思います。

さいごに

さて、僕は先にPx8を買って、少し後にPx7 S2eを購入しましたが、結論、Px8、Px7 S2e両方買ってよかったなと思っています。それは、両ヘッドフォンを通じて、あらためてB&Wのヘッドフォンのクオリティの高さを実感できたこと。そして、長年のヘッドフォン難民生活に終止符を打つことができたこと。

メインはPx8、カジュアルに持ち歩くのはPx7 S2e。しばらくはこれで行こうと思います。もう長いことメインのヘッドフォンが定まらず、路頭に迷っていましたが、その悩みがひとつ解消されて、目の前の霧が晴れたような感覚があります。

100,000円クラスのハイエンドヘッドフォンに手を出すのは勇気が要りますが、やはりミドルレンジとは一線を画す体験の豊かさがありますね。音楽をただ聴くだけでなく、その奥深さに触れ、感受性を高めることができる。それが、ハイエンドヘッドフォンの価値を感じる瞬間であります。

Px7S2eは、カジュアルなPx8。いつでもどこでも気軽にPx8テイストを持ち運べる。もちろん、有線で繋げば一気にハイエンド顔負けのサウンドに早変わり。

どちらを選ぶもよし、どっちも選ぶもよし!自由こそが音楽!というわけで、よきB&W生活を!